非定型業務を遂行させるのは難しいですよね?
「ルーチンなら時間をかければできるけど、非定型業務はちょっと・・・」と思っている方が多いと思います。
私もそうでした。
ただ、私の経験として、製薬企業での研究員経験、現職でのコンサルタントとしての経験があります。
例えば、下記のようなちょっと無理そうなことをやりきりました。
前例が無い機械の研究、開発
機械は「鶏の遺伝子組み換えワクチン」製造に関わるモノでした。
研究内容は、技術調査、設計、実証実験で、開発は製造委託先との折衝、製造、導入、品質検査・保証の方法論設定など多種多様でした。
思い出深いことがらは、法令での基準を調べ、社内試験の設定・合格基準値の設定、それに見合う&作業に効率的な設計にする…ですね。初回はマジで設計失敗した。
研究はその当時は上長から具体的な指示もなく、大学院時代の研究の方法論を流用してがむしゃらにやってました。
コンサルティングを受けたことが無い会社へのコンサルティング
専門家による分析を受けた経験がほとんどない会社や部門・サービスに対するコンサルティングで、わりと良くあるので何件か経験しました。
そこで気づいたことがあります。
この方法論って一般化できそうだなと。
そこで今回は非定型業務の業務指示の方法論について書きます。
※実務ではより細かく、案件状況やその人の性質などにも配慮しています。
業務の目的は多種多様ですが、このような方法論は非定型の業務を「自分の力で遂行できるようにさせる」ために作成しました。
前提として、勤務先がコンサルティング会社のため、ある程度の思考力や自走力など自力を持つ人が多いです。加えて、キャリアの方向性などを明確に語れる人がほとんどです。
その背景としては、どんなことを提案しても否定されず、まずは試してみる、心理安全性をある程度確保した職場です。珍しいですね。
業務指示は下記のように進めます。
1. メンバーのレベル分け
↓
2. 業務指示
↓
3. 品質確認
↓
4. フィードバック・レベル調節
よくあるPDCAの流れと似ています。
計画のPは、到達目標など予め決めている場合が多いです。
ただし、動きが早い業界のため決めた時と状況が違うことがほとんどであり、あくまで参考値であり、現状の認識が最優先です。
どちらかというとOODAに近いとは思います。
※達成したい、ありたい姿の目標はもちろん大事です。ただし、今回はフォーカス外なので省略します。
では、1つずつ見ていきます。
1. メンバーのレベル分け
メンバーごとに業務レベルを1(低)-4(高)までランク付けします。
レベル分けについては、属人的ですがコミュニケーションで絶対評価でのチューニンクを行います。
ここで、「この人はレベル3.2くらいかな」と把握します。
※ここでは他人と比較しないようにします。各々で得意な分野が違いますし、評価者が好きな能力もありますし、比較するとロクなことになりません。
※小数点で把握するようにします。レベルアップはすぐには起こりませんが、少しずつの変化をとらえていきたいですね。
レベル1
業務知識がなく、方法論がわからない
レベル2
業務知識はあるが、方法論がわからない
レベル3
業務知識があり、方法論はわかるが、業務に対する提案はできない
レベル4
業務知識があり、方法論も理解し、業務に対する提案ができる
そのレベルに合わせて、業務指示方法を変更します。
2. 業務指示
案件参加時に、業務の目的をまず説明します。
目的を分かっていない(=自分で説明できない、質問に答えられない)場合は、業界知識等をいくら持っていても意味がないので、レベル1相当で扱います。
レベルが低いうちは具体的に、作業ベースで説明します。
レベル1では、やるべき業務を具体化し、作業の目的、作業概要、各作業のPREP(結論→理由→例→結論)およびアウトプットイメージを伝えます。
可能であれば、各作業の想定所要時間を伝えて、実際にかかった所要時間をメモさせてください。
※分かっていない懸念がある場合は、作業のうち1つを確認として復唱してもらいましょう。
(全部すると時間もかかりますしメンタルに来ます。たぶん。)
※集中力を上げたい場合は、「最後に作業内容を確認する」と前置きしてもいいです。
レベル2は、レベル1とほぼ同様に伝えてください。
行ったことがある内容については飛ばしてOKです。
ただし、ミスしたことがあるモノについては、説明を行っていいかもしれません。
レベル3は、説明は作業の目的、作業概要でOKです。
その後、「方法はどうすれば良いか?」「アウトプットはどうするか?」と質問してください。
レベル4になる、つまり提案ができるようになるためには、提案を繰り返し練習する必要があります。
レベル4は、「どうすればより価値が出せるのか?」「懸念点は何か?」を問いましょう。
彼らが個人ではできない可能性があることも、聞くことができるかもしれません。
このレベルであれば、指示者より間違いなく良く見えているので、提案を否定せずに試したいですね。
3. 品質確認
品質管理は、あくまで目標を達成しているかで判断してください。
最初に伝えた手段は重要ではありません。
加えて、期限まで何もレスポンスがないことを防ぐようにしてください。
作業方法やアウトプットが思っているモノと違うことがよくあります。
それで説明できるのであれば問題ありませんが、そんな人はほとんどいません。
それはタイミングを見て(少なくとも初回は作業終了日まで50%進捗していない段階で)、こちらから質問してください。
何回でもチェックを受けていい体制を取りましょう。
最終確認で「イメージが違います。間に合いませんでした。」では完成責任を持つのは指示者です。
あくまで自分たちの問題であり、彼らは作業の遂行に責任を持ちます。
そのため、スケジュールをオープンにしておき、スケジュールが空いていれば予定をいつ入れてもいい等、伝えておきましょう。
4. フィードバック・レベル調節
品質管理を複数回行う前提です。
そのため、レベルの把握が精密になり、変化にも気づきやすくなります。
そこで、フィードバックはその都度行います。
プラスにはそのまま伝えればいいですし、マイナスは(気にする人であれば)一人の時に伝えましょう。
※マイナスフィードバックを気にする人は日本人に多いです。外資ではほぼいない状況(逆に言ってくれてありがとう精神が多かった)でしたが、現在の日系コンサル会社では5~7割くらいを占めています。
その結果でレベルを調整します。
あとは、仕事の速さも大事です。
想定より早い・遅い作業は各々のメンバーで異なります。
何故早かったのか、なぜ遅かったのかを作業の工程レベルで確認しましょう。
(例:集計作業であれば、前提の確認、SQLを書くこと、集計結果の品質・適正確認、どこかで手戻りがあったのか等が考えられます)
業務に慣れてくれば、作業想定時間を自分で設定させましょう。
どれくらい時間が掛かりそうなのかの考慮は、何度も経験させると上手くなります。
プロジェクトマネージャー等になるには必須のスキルですので、時間を先行投資しておきます。
時間の意識づけにも使えますしね。
最後に
コンサルティング会社での業務ですので、いつも業界や内容が違うため、定型作業ではありません。
そのため、このように注意すべき点を挙げて業務を遂行しています。
見て学べは無理との考えでもありますし、「あなたの色(特徴、意見)を出してください。」というスタイルですので、珍しいスタンスかもしれません。
それでは、また。