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コロナウイルス感染症で報道される陽性者数に注目すべきでない理由

これまで半年以上に渡って、日本をはじめとした世界中を不安定な社会に陥れている新型コロナウイルス感染症。

ただ、報道される指標、つまり陽性者数が「実態を捉えることに役立っていないのではないか」と考えました。
職業アナリストとして少し考察していきます。

はじめに

まず初めに、データを確認していきます。

東京の陽性者数は2020年8月12日で222人でした。
グラフを見ている限り、感染者数が増加しています

※データ自体は本物だと仮定して話を進めます。

考えてみる

陽性者数が増えたところで「だから何?」と私は考えています。
なぜなら、分析の目的と違うモノを集計・報道しているからです。

今、私たちが知りたいコトって実際は何でしょうか?

自分や家族がコロナウイルス感染症に感染していないか、もしくは感染する危険性が無いか?ではないでしょうか。
つまり、感染が拡大しているかどうかの指標が欲しいと考えられます。

現行指標の弱点は何か

陽性者数の弱点は、検査者数が増えれば陽性者数は増えるということです。

国や医療機関の努力もあり、1日にできる検査数も確保できるようになってきました。
そうすると、検査者数も増えます。
その検査を受けた人の中で陽性者が一定の割合で出現するため、検査者数が増えたら陽性者も増えます。

実際に「感染が拡大・縮小しているか」は分かりません。

確認すべき指標と注意すべきポイント

私は、検査の陽性率だと考えています。

なぜなら、下記3点の理由があります。
(1) 前述の陽性者数は、検査者数によって大きく変動することが自明。
(2) 陽性率は、数値として安定しやすい。
(3) 陽性率は、検査するような人はどれくらいの割合で感染しているかという数値であり、それを確認する方法がこの指標しかない。

グラフを見ている限り、最近は6~7%で落ち着いているようです。

しかし、その指標にも注意が必要です。

それは、検査者数の大小です。
その検査者数の大小の推移から、背景を考えなければ読み違えます。

東京都コロナウイルス感染症 対策サイトによると、4月には陽性率が30%を超えて、なおかつ検査者数が500人以下で1か月近く維持していました。

つまり、4月には検査は多くできないけど、優先して重症患者を検査して対応しようという動きがあり、陽性率が高かった。
5月にはある程度落ち着いたので、症状が軽度な人も確認できるようになったので、陽性率が下がったように見えた。
その後、5月中旬ごろから検査数を確保できるようになり、検査のボーダーを下げたので陽性率がさらに下がったように見えた。
・・・
最近では陽性率と検査者数が増えているように見える。
検査者数が増えることは、下記のように考えられます。
(1) キャパシティが満タンであったが検査可能数が増え、検査を受けることができる人が増え検査のボーダーがある程度下がった
(2) キャパシティが余っていたが検査しようとする人が増えた
(3) キャパシティが余っていたが陽性者が増えたので検査する必要があった

そうした背景から考えても、陽性率は大きく上がっていないので、「急激に感染拡大しているわけではなさそうだ」と読み解けます。
※(1)と陽性率一定であれば、実質的な陽性率は上がりますが・・・どうだろう?

まとめ

数値はウソではないが、正しく解釈するには知識が必要です。
私も語尾を濁しているのは、前提条件やこれまでの流れが完全にわかっているわけではないので、○○であると言い切れないからです。

ただ、意味のない数値を連日報道して何の意味があるんだろうなーと思い、ブログに書きました。

私の認識違い等ございましたらご連絡ください。いつでも変更します。

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