Rの考え方

Rの個人研究・考察を行うブログ。最近は因果推論とアナリティクス(機械学習、統計はお休み中)、認知論にお熱。

ブログ

ガンマ関数Γ(n)と階乗(n-1)!の一致を示す

投稿日:2020年6月6日 更新日:

自分の備忘録として、ガンマ関数がなぜ階乗と同値になるのか確認したことを記録する。

ガンマ関数は下記の式で表される。

    \[    \boxed{\Gamma(z)=\int_0^{\infty}{t^{z-1}}{e^{-t}}\,\mathrm{d}t} \]

ただし、自然数nであれば下記のように一般化される。いわゆる階乗だ。

    \[    \boxed{\Gamma(n)=(n-1)!} \]

ただ、導出でよく説明される下記式ではわかりにくい可能性がある。
私もわからなかったが、よく見ると部分積分の上手い使い方である。

    \[    \boxed{    \Gamma(n)=\int_0^{\infty}{t^{n-1}}{e^{-t}}\,\mathrm{d}t    } \]

    \[    \boxed{    =\,[-t^{n-1}e^{-t}]_0^{\infty}-\int_0^{\infty}{\{-(n-1)t^{n-2}e^{-t}\}\mathrm{d}t}    } \]

そして、左辺は0、右辺は下記で表される。

    \[    \boxed{    (n-1)\Gamma(n-1)    } \]

そこにΓ(1) = 1となることを利用して計算してみると、

Γ(2) = 1 = 1!
Γ(3) = 2 = 2!
Γ(4) = 6 = 3!
Γ(5) = 24 = 4!
続く…

となる。

とりあえずこうなることはよくわかった。
ただ、実際の積分について理解が不足していると分かり辛い…。
では実際にz=1から導出してみよう。

使う知識は部分積分のみである。

z=1

    \[    \boxed{    \Gamma(1)=\int_0^{\infty}{t^{0}}{e^{-t}}\,\mathrm{d}t\    } \]

    \[    \boxed{    =\,[-e^{-t}]_0^{\infty}\,=\,(-e^{-\infty})-(-e^{-0})\,=\,1    } \]

左が0、右がeの0乗=1となるので、1になる。

z=2

    \[    \boxed{    \Gamma(2)=\int_0^{\infty}{t^{1}}{e^{-t}}\,\mathrm{d}t\,    =\int_0^{\infty}{t^{1}}({e^{-t}})'\,\mathrm{d}t    } \]

部分積分の形式にする。

    \[    \boxed{    \int_0^{\infty}{t^{1}}({e^{-t}})'\,\mathrm{d}t    =\,[-t^{1}e^{-t}]_0^{\infty}-\int_0^{\infty}{1t^{0}e^{-t}}\/\mathrm{d}t    } \]

右辺右の式をよく見ると、Γ(1)の式である。
これを愚直に計算すると、

    \[    \boxed{    =\,-(0-0e^{-0}) - (e^{-\infty}-e^0)\,=\,1    } \]

続いて、

z=3

    \[    \boxed{    \Gamma(3)=\int_0^{\infty}{t^{2}}{e^{-t}}\,\mathrm{d}t\,    =\int_0^{\infty}{t^{2}}({e^{-t}})'\,\mathrm{d}t    } \]

部分積分の形式にする。

    \[    \boxed{    \int_0^{\infty}{t^{2}}({e^{-t}})'\,\mathrm{d}t    =\,[-t^{2}e^{-t}]_0^{\infty}-\int_0^{\infty}{2t^{1}e^{-t}}\/\mathrm{d}t    } \]

右辺右の式をよく見ると、Γ(2)の式×2である。
結果は1×2となり、2!と同値となる。

微分の性質から、
z=4であれば、Γ(3)×3=3!

    \[    \boxed{    \int_0^{\infty}{t^{3}}({e^{-t}})'\,\mathrm{d}t    =\,[-t^{3}e^{-t}]_0^{\infty}-\int_0^{\infty}{3t^{2}e^{-t}}\/\mathrm{d}t    } \]

z=5であれば、Γ(4)×4=4!と同値となる。

    \[    \boxed{    \int_0^{\infty}{t^{4}}({e^{-t}})'\,\mathrm{d}t    =\,[-t^{4}e^{-t}]_0^{\infty}-\int_0^{\infty}{4t^{3}e^{-t}}\/\mathrm{d}t    } \]

そのため、ガンマ関数Γは以下のように表される。

    \[    \boxed{\Gamma(n)=(n-1)!} \]

少しすっきりしました。

-ブログ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

非定型業務の業務指示の方法論

非定型業務を遂行させるのは難しいですよね? 「ルーチンなら時間をかければできるけど、非定型業務はちょっと・・・」と思っている方が多いと思います。 私もそうでした。 ただ、私の経験として、製薬企業での研 …

イルカウォッチング in 天草市(動画あり)

家族が熊本に来たので、天草へイルカウォッチングに行きました。 場所 熊本県天草市二江漁港 イルカマリンワールド(GoogleMap) (左:漁港の看板、右:漁港の建物) イルカ動画 No.1 No.2 …

大学生になる君たちに伝えたいこと

この記事を読んでくれているあなた。 ありがとう! 私の失敗を若い人たちに繰り返して欲しくないから、この記事を書きました。 もし大学生になる・なりそうな人を知っているなら、なんとなくでいいので伝えてくだ …

時間と情報管理

一記事約1,000名の方に見ていただいています。 ありがたいと思います。 前々回の記事URL?では少しスタンスが違ったのは、ある人の依頼で記事を書いたからだ。 いわゆる実験記事である。 いかにコンバー …

仕事の実力とは何なのか

はじめに 自分自身の仕事の実力を測りかねる人が多いかと思います。 Twitterでは、売上で全国で1位だ、MVPだ何だという自己紹介が散見されます。めっちゃ胡散臭い・・・。 そこにまじめに突っ込みを入 …